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2017-10

きっと、うまくいく脚本本より:ランチョーの役作りの秘密1 - 2016.04.08 Fri

3 idiots Original Screenplayよりざっくり翻訳&抜粋

■ランチョー アーミル・カーン

アーミルを3 idiots(きっと、うまくいく)に、とは考えたこともなかった。この場合、まさしくぴったりの人間がまさしくぴったりの役を見つけ出したんだ。アーミルの実際の生き方がランチョーなんだ。—ラージクマール・ヒラーニー(監督)

実のところ我々はアーミルを3 idiotsに、とは考えていなかった。私はRajesh Mapuskarの「Ferrari Ki Sawari(邦題:フェラーリの運ぶ夢)」に彼を呼ぼうとしていた。その期間には3 idiotsのキャスティングも進行中だった。アーミルは私に何かラジュー(訳注:ヒラーニー監督の愛称)がやっている作品はないかとたずねてきた。彼はラジューと一緒に仕事がしたかったからだ。私はすぐさま、監督を3 idiotsの説明のために呼んだ。
そうやって、我々はランチョーを見つけ出したんだ。—ヴィンドゥ・ヴィノード・チョプラ(プロデューサー)


26年間を映画業界で過ごす中で、アーミル・カーンとヴィンドゥ・ヴィノード・チョプラは何度か会って企画を話し合ってきた。ヴィノードは1942: A Love Story をアーミルにオファーしたが実現しなかった。

それ以降、アーミルは何年かに一度必ずヴィノードから電話がかかってきて、一月先に撮影がはじまるような企画についてたずねられることに慣れていた。アーミルはいつも脚本に耳を傾けたが、準備期間がもっと必要だとして丁寧に辞退してきた。さらになにより、実際の撮影に入る段階のたかだか一月前に声をかけてくるということは、どのみちその仕事に必要とされているのは自分ではないというわけだった。

だから2007年の末に、ヴィノードの名前が電話の画面に表示されたときは、アーミルはいつもの「4年に1度」の連絡だろうと推測した。ヴィノードは、まだ脚本を書いている途中の作品について話を持ちかけた。その会話はこういうふうに進行した。

アーミル:いつも僕に映画をオファーするけど、なんでラジューの監督する映画はオファーしてこないんだ?
ヴィノード:もし呼んだらやってくれるのか?
アーミル:脚本がよければ、絶対やるよ。
ヴィノード:じゃあ明日来て聞いてくれないか?

脚本が完成しているか途中かも気にせず、アーミルはこのなりゆきに驚いてぼうっとしていた。ヴィノードはまた彼を重い足取りで歩かせることになるかもしれなかった。しかし今回は事がうまく運んだ。




—あなたはラジューと仕事をしたいと公表していました。お互いに会って企画について話あった事もありました。なぜもっとはやく実現しなかったのですか?

ラジューの作品と人柄に対して高い敬意を抱いている。最初に出会ったのはMunna Bhai M.B.B.S.(医学士ムンナ—兄貴)のプレミアだった。僕は映画をとても気に入り、素晴らしいと思った。
その後半年をすぎた頃、ラジューは僕を呼んで作品のアイデアについて話し合った。これはLage Raho Munne Bhai(続ムンナ—兄貴)の前の話だ。僕はそのとき旅行中で、ムンバイに戻ってから会おうということになった。

家に戻った後、ラジューがやってきて予定が変わってしまったことを告げた。事実、僕たちが会った日の朝に、僕と話そうと思っていたアイデアをムンナ—兄貴の続編に使おうと決断したそうだ。僕はそれでもそのアイデアを聞きたがった。内容を聞いたとき、最高のアイデアだと思ったし、ムンナ—兄貴のジャンルにぴったりはまると感じた。
そして、サンジャイ(・ダット:ムンナ—兄貴の主演俳優)は良い仕事をするだろうし、同時に自分は機会を逃してしまったなと思った。

僕がラジューに引寄せられるのはそのユニークな映画作りのスタイルだ。ムンナ—兄貴の2編で、彼がキャラクターたちをたくさんのあたたかさをもって見ていることを知った。もしその映画の中では悪役だったとしても、彼のキャラクターへのアプローチはとてもあたたかい。彼の作品には、僕やすべての人に訴えてくる確かな喜びやシンプルさがある。それにラジューはまっすぐな人間であることはすぐにわかる。彼は相手がどういう人間であっても、関わるすべての人々に基本的な尊敬と尊重の念を持っているんだ。


—最初の説明の後、脚本に対してどういう反応をしましたか?
最初の反応は、失望というべきものだった。
僕には良いと思えなかったし、もしラジューがそのままの形で作ろうとしていたなら、却下するしかなかった。
彼とはとても一緒に仕事をしたかったので、悲しく思った。脚本は多くの可能性を秘めていたけど、まだ力を発揮出来ていなかった。
僕はラジューに期待していたことを伝えた。彼は僕の言葉を聞いて、いくつかの僕の指摘には同意したと言った。時間を少しくれと言って、二ヶ月後にまたやってきた。
僕は二回目の脚本を再びひととおり聞いて、気に入った。僕が指摘して彼が同意したたくさんの点がしかるべきところにおさまっていた。


—最初に説明された脚本では何が問題だったのですか?
根本的な問題としては、ランチョーが最初の脚本ではヒーロー的であり過ぎたんだ。彼は生意気で、賢いせりふを次から次へと流れるように口にしていた。僕は、彼は普通の青年のように振る舞うべきだと思った。

たとえば、初登場のシーン、はじめは彼はヒーローのように新入生いじめをするやつらに立ち向かっていた。
問題だったのは、シーンではなくてランチョーの態度だった。そのシーンはほとんど以前のバージョンと同じまま残ったんだ。ランチョーの態度が僕には納得出来なかった。
若い男の子が新入生としてやってくるとき、上級生と対峙するのに怖じ気づくはずだ。入ってきてすぐかっこいいせりふをどんどん作り出すような青年にはなりえない。
そうであったなら、彼は自分に自信がありすぎ、確信がありすぎる。

でも僕の理解では、ランチョーはふつうの青年のように思われた。彼はどうやって自分より強い上級生たちのいじめと対決していいかわかっていないし、それが走って部屋に隠れる理由なんだ。

最初の段階では他人に対して優位を誇示するような調子が感じられて、でも僕はランチョーはそんなことにはこだわっていないと思った。僕はそのシーンでランチョーは怖がっていてほしい、恐怖を打破して行動してほしいと思った。はじめからどうやってタフな状況を切り抜けるかを知っているのではなくてね。


似たようなことで、学長が新入生に宇宙飛行士のペンについて話すシーンでも、もし僕が生意気な話し方でしゃべっていたらキャラクターは違うものになっただろう。
でも同じせりふが、そのキャラクターがたった今思いついたような興奮とともに語られたら、そしてそれがとてもいいアイデアだと思ったので口に出して共有したかったのだとしたら、全く違った色彩をキャラクターに添えることになる。
ランチョーは自然に、自分の考えを伝えることに熱中していて、人がなぜ笑っているのかわからないんだ。彼は何も面白いことを言おうとしているわけじゃないのに。
これはすでにジョークになっている。本人以外が面白さを見つけるんだ。


おおまかに、こういう部分が僕にとって問題になったところだった。
これは核心のテーマを原石をみがいて取り出していくためのプロセスだった。この作品が言おうとしていること、"成功ではなく優秀さを追求しろ"これが僕がランチョーを通して見えてきてほしいことだった。

(続く)
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● COMMENT ●

初めまして。
「きっと、うまくいく」のTV放映(字幕)を録画したままずっと放置しており、3か月前に初めてみた玻璃と申します。
いつもこちらを拝見しています。
どれもこれも貴重なお話ばかりでとても楽しいです。

今回はこれまた大変大変貴重な脚本の翻訳、本当にありがとうございます。
ランチョーはアーミルが作った、という意味がよくわかります。
アーミルの発言がいちいちもっともで、さすがだな~と思いました。
続きを楽しみにしています!

ここ3か月間、アーミル作品を中心に、インド映画を見まくり、インド映画関連の本を読みまくっています。「I'll do it my way」もさっそく購入しようとしましたが、あまりの高さにあきらめました(弱)
みなさんのキャリアと情熱には全くかないませんが、ちょっとでも追いつけるようにがんばります。

>玻璃さま
はじめまして。コメントありがとうございます!
三ヶ月前にきっと、うまくいくを…!映画館での公開から時間がたっても新しくはまる方がいらっしゃってとても嬉しいです。アーミル&インド映画の世界へようこそ!

私もアーミルファンになったのは「きっと、うまくいく」からなので、ランチョーの役作りに関する情報を共有出来て嬉しいです。訳して良かったなあと思います。きっと、うまくいく脚本本、日本でも出ないかなあ…さすがに無理かなあ…と考えてみたりも。ぽんこつ訳ですが続きもがんばります!

あれ、I'll do it my way高かったですか…?私はインドで買ったのでそこまで高いとは感じなかったですが、送料などがかなり上乗せされてるのかもしれませんね。。。たしか少し前にKindleでかなり安くセールをしていた記憶があるので、データでの購入や試し読みという手もありかもしれません。(グラビア写真ページがどうなっているかはわかりませんが…)

間違えました

陽明さま。

さっそくのコメント、ありがとうございました。

I'll do it my way、高くないです。何か別の本と間違えてます。
ただ、海外からしか買えないので、送料等、いったいいくら上乗せされるのか怖くて注文できなかったのでした(弱弱)

最近読んだ中では「アジアのハリウッド」という本で、「Taare Zameen Par」を中心にアーミルについて10ページにわたる記述があって、とてもうれしかったです。

買いました

「I'll do it my way」、買いました。
激安な分、グラビアはありませんでした。

Kindleデビューです。
というより電子書籍デビューです。

英語なんかろくに読めないのに、何やってんだか・・・。
でも辞書がぴったりくっついているのが便利です。

>玻璃さま
お返事遅くなってしまってすみません。
「I'll do it my way」Kindleで買われたんですね!でもグラビアはなかったのですか…残念ですね。
なるほど、辞書がついてくるのは電子書籍の強みですね〜。
私は英語は聞き取りはともかく、語彙力が幼稚園児レベルなので訳すときはweb辞書で単語を調べまくりです。
伝記本は年代順なので、アーミル作品を見た後にその映画について書かれている部分をつまみ読むと面白いかなと思ったりしています。(私もまだごくごく一部しか読めてませんw)

「アジアのハリウッド」、貴重なアーミルさんについて書かれている日本語書籍ですよね!
Taare〜が日本公開されていないのが惜しまれます…ミニシアターで好まれそうな作品だと思うのですが。。


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